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住民票が別でも小規模宅地は使える?同居実態を証明し「税務調査是認」を得た事例

この記事のポイント

相談者
被相続人宅で実態同居していたが、住民票が旧住所のままだった相続人
課題
小規模宅地等の特例(同居要件)が住民票ズレで否認されるリスク
結果
生活実態の証拠を収集・体系化し、特例を適用。税務調査でも是認
税額効果
特例適用により相続税が約700万円圧縮

小規模宅地等の特例は、使えるかどうかで相続税が大きく変わる制度です。
一方で、同居要件の判定は「住民票」だけで決まるわけではなく、日常生活の実態や経緯、証拠の整備状況を踏まえた個別判断となります。
本件は、住民票と実態がズレたケースで、将来の税務調査まで見据えて対応した事例です。

ご相談の背景

被相続人は長年お住まいのご自宅(土地・建物)を残して亡くなられました。
相続人の方は被相続人の生前から数年間、被相続人宅でお子様(被相続人の孫)とともに生活しており、起居・生活の拠点は被相続人宅に移っている状況でした。

一方で、相続人ご自身名義の旧自宅が被相続人宅の近隣にあり、住民票は旧自宅のまま変更されていませんでした。
ただ、郵便物の受取や日常生活は被相続人宅に集約されており、相続後も引き続き同宅で生活されていました。

「実態としては同居しているが、住民票が別のままで小規模宅地等の特例が使えるのか不安」
ということでご相談いただきました。

本件の課題(論点)

本事例のポイントは、“住民票と同居実態のズレ”をどう説明・証明するかでした。

1. 住民票が旧住所のまま

税務署は同居要件の確認において、まず住民票を確認します。
そのため、住民票が別住所だと形式上「同居していない」と判断され得る入口リスクがあります。

2. 実態としては被相続人宅で生活していた

実際には、

  • 被相続人宅で起居していた
  • 生活の中心(食事・睡眠・家事・子育て)が被相続人宅にあった
  • 郵便物も被相続人宅で受け取っていた

など、生活拠点が明確に被相続人宅にある状況でした。

3. 「実態」を客観的に示す証拠が必要

住民票の記載と実態が違う場合、
実態を裏付ける客観資料が整っているかどうかが、特例適用の可否を左右します。
本件では、申告時点から税務調査まで見据え、証拠の収集・整理を徹底する必要がありました。

当事務所の対応

本件では、申告時だけでなく将来の税務調査まで視野に入れ、
「同居実態の整理」と「客観証拠の収集・体系化」をセットで行いました。

Step1:同居の経緯と生活実態を時系列で整理

相続人の方から、

  • いつ頃から、どのような理由・事情で、被相続人宅での生活が中心になったのか
  • 旧自宅に戻る頻度や生活の実態はどうだったか

を丁寧にヒアリングし、生活実態の経緯を時系列で整理しました。

Step2:生活実態を裏付ける客観的証拠の「発掘・体系化」

住民票のズレを補うため、
「被相続人宅が生活拠点であったことを客観的に示す資料」を徹底的に収集・整理しました。

具体的には、

  • 被相続人宅の電気・ガス・水道などの使用明細(必要に応じて旧自宅側との比較)
  • 郵便物の受領記録・不在票・通販の配送履歴など(被相続人宅への送付実態)
  • 生活実態を補強する各種記録・聞き取り内容の整理

など、散在していた事実を積み上げ、税務署に対して論理的に説明できる証拠資料として体系化しました。

Step3:リスク説明の上で小規模宅地等の特例を適用

住民票が別住所であることによる否認リスクを説明したうえで、
本件は実態として同居要件を満たすと判断し、小規模宅地等の特例(居住用)を適用して申告しました。

税務調査での対応と結論

申告から約2年後、税務調査が入り、
小規模宅地等の特例の同居要件が主要な論点として確認されました。

税務署は、

  • 住民票が旧住所のままである理由
  • 生前中および相続後の居住実態
  • 同居の経緯

などを詳細に確認してきました。

こちらは相続人から、
被相続人宅で生活していた実態と、生活拠点が移行した経緯を説明いただいたうえで、
収集・整理していた根拠資料(公共料金の明細・郵便物記録等)を提出しました。

さらに、
住民票は判断材料の一つであるが、最終的には生活実態と経緯に基づいて判断されるべきことを
租税特別措置法の趣旨に沿って主張。

結果として特例適用は是認(問題なし)となりました。

税額効果

小規模宅地等の特例の適用により、相続税額は当初想定より
約700万円の圧縮となりました。

ただし、今回の本質は「税額を下げること」だけではありません。
調査を見据えて同居実態の証拠を収集・体系化し、最終的に是認を得られた点が重要です。

本件のポイントまとめ

  • 住民票と実態がズレるケースは、同居要件の典型的な調査論点になる
  • “実態がある”だけでは足りず、証拠の厚みと整理の仕方が結論を左右する
  • 小規模宅地の同居判定は、相続税申告の中でも特に専門性が問われる領域

こうしたケースは早めの相談が重要です。

  • 被相続人宅に住んでいたが、住民票が別住所のまま
  • 近居・二拠点生活・二世帯などで生活実態が複雑
  • 小規模宅地等の特例が使えるか不安
  • 税務調査リスクまで見据えて整理したい

小規模宅地等の特例は、
「使えるかどうか」で税額が大きく変わる一方、要件判断が非常に繊細な制度です。

自己判断で申告し、後から税務調査で否認されると、
本来の税額に加え過少申告加算税・延滞税が発生するリスクもあります。
調査官に指摘される前に、まずは専門家の目線で
「同居実態の整理」と「証拠の強さ」を確認することをお勧めします。

小規模宅地等の特例適用や税務調査にご不安な方は、
トラスト相続専門税理士事務所へ相続税申告のご相談をお寄せください。

(個別判断に関する注釈)

本記事は実際の事例をもとに一般化して解説したものです。
小規模宅地等の特例の適用可否は、
居住実態・同居の経緯・証拠の内容や整備状況等を踏まえて、税理士および税務署が個別に判断します。
同様の事情がある場合でも結論が異なる可能性がありますので、具体的な適用判断は必ず専門家へご相談ください。

代表税理士清水翔太の画像

トラスト相続専門税理士事務所

代表税理士清水翔太shota shimizu

所属:東京税理士会芝支部(登録番号136943)

都内大手税理士法人でパートナーを務めた後、独立開業。相続税申告の累計担当件数は700件を超える。「適正な評価で、ご家族の資産と想いを守る」を信念に、難易度の高い土地評価や税務調査対策、二次相続まで見据えた遺産分割の提案を得意とする。形式的な事務処理ではなく、お客様一人ひとりの人生に寄り添う「オーダーメイドの相続」を実践している。

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